発達障害の1つ「ADHD」が加齢により後天的に顕在化する可能性(2022/09/28)
以下の記事を読みました。
熊本大学は9月27日、認知症が疑われ、同大学病院の認知症専門外来に訪れた446名の患者についての調査研究を行ったところ、約1.6%にあたる7名は認知症ではなく、高齢によって顕在化した発達障害の1つである「注意欠陥多動性障害(ADHD)」であったことを確認したと発表した。
(中略)
研究チームはこれまでの研究にて、高齢者において認知症のように誤診されうる発達障害患者を見出し、症例報告を行っていた。その症例では、これまで日常生活でそれほど大きな支障がなかった60歳前後の会社員が、徐々に物忘れや不注意が目立つようになり、認知症を疑われて認知症専門外来を受診。詳細な検査や検証の結果、認知症ではなく、加齢により顕在化したADHDと診断されたとするほか、ADHDの薬物療法を実施した後は物忘れや不注意の症状が改善し、復職することができたとしている。
原著論文はこちら↓↓
bmcpsychiatry.biomedcentral.com
私は以下の研究も興味深く拝読させていただきました。
高齢の対象群、MCI(軽度認知障害)、ADHDの3群比較で種々の神経心理学的評価等を行い、MCIとADHDとの違いを調査しています。
その結果、対象群と比較し、ADHDはエピソード記憶と実行機能が有意に低いことがわかりました。またADHDとMCIは全ての成績で同程度でした(類似している)。
かなり診断が難しく、重複しつつも臨床的には個別の病態である可能性…ということですね。
出典:Front. Psychiatry, 20 September 2021 Sec. Aging Psychiatry
https://doi.org/10.3389/fpsyt.2021.737357