発達が気になる子どもたちの日常と臨床応用

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どうしてその行動を「先延ばし」にしてしまうのだろうか…。

どうしてその行動を「先延ばし」にしてしまうのだろうか…。

 

TWINS弟さんのあるある行動です。

 

遅延時間に伴う報酬価値の割引を「遅延割引」と呼び、「遅延割引率が高い」と即時小報酬への選好を予測してしまい、将来を予測して行動することが難しくなります。

いわゆる行動の「先延ばし」をしたり、目先の「即時報酬」を選択してしまいます。

 

 

しかしながら、ウチのTWINS弟さんは

自分で決めた/自分が好きな「即時報酬」が何かわかっていても、そのさらに刹那レベルにある「即時報酬」との優先順位をつけたり、感情や動機等の自己調整能力をコントロールすることが難しいようです(注意・実行機能の困難さ)

 

刹那レベルの「時報酬」というのは、大人からすれば、「いつも読んでる本だったり、ちらっと見えた広告のチラシ」レベルです…。

 

刹那って恐ろしいです笑。

 

本人に「先延ばし」行動について聞いてみると…答えは実にシンプル!!

 

「だって、今はやりたくないもん/ほしくないもん」だそうです。

 

まさに刹那です。

 

この価値観ってわからなくもないけど、どの程度まで一般的と捉えるべきなのか気になったのでちょっと調べました笑。

 

Prospective memory (partially) mediates the link between ADHD symptoms and procrastination
Mareike Altgassen, Anouk Scheres & Marc-Andreas Edel 
ADHD Attention Deficit and Hyperactivity Disorders volume 11, pages59–71 (2019)

 

ざっくり説明しますと…

成人期ADHD者を対象に「今後3日間に行う予定の活動5-7つくらいを事前に挙げてもらい、後日、その活動を実際に行ったかどうかを確認する」というシンプルな課題です(一部の実験課題のみ抜粋)。

 

まぁ要するに「先延ばし」行動の有無を調べています。

で、成人TD(定型発達)者と比較し、その「意図した活動を実施した割合が低い」という結果です。

それは、納得できました。

 

私が気になったのは、

意図した活動を計画通りに実行できなかった理由として挙げられている内容です。

 

  • forgotten(忘れてた)
  • did not I feel like it(気が乗らなかった)
  • no time(時間がない)
  • force majeure(不可抗力な外的要因?なんか新たな用事できたとか?)

 

ADHD者の理由の1位は「気が乗らなかった」と比較し、成人TD(定型発達)者は「不可抗力な外的要因」となっています。

 

やっぱり「だって、今はやりたくないもん/ほしくないもん」正解のようです。